
すでに当時から10年以上の歳月が過ぎ、音楽シーンも大きく様変わりしてきた。そんな中で、当時はカッコよかった音や曲が、今聴くと全然違って聴こえたりする。
シューゲイザーと呼ばれる音楽は、特に時代や流行り的な聴かれ方をしていた部分もあり、今聴くとどこがシューゲイザーなのかわからない、というモノも少なくない。さらには、もともと定義があったジャンルでもないためにいろいろな解釈が生まれ、シューゲイザーという存在自体があやふやなモノになってしまっている。
そこで、ここでは特に時代的な観点から最もシューゲイザーという名を知らしめたであろう名盤を紹介する。
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My
Bloody Valentine / loveless |
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1991年にリリースされたこの1枚は、良くも悪くもそれ以後、シューゲイザーという音の代名詞となっていく。その極限までに作り込まれた音は、もはやバンドサウンドと呼べるものではなく、スタジオワークによる部分が大半を占める。今なお世界中でその存在が語られ、また多くのフォロワーを生み続けているアルバムである。
その後彼らは活動を停止。今だ復活の徴候すらなく、事実上は解散と言っていい。シューゲイザーと呼ばれた音楽が残した偉大なる功績。
Released: 1991
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Ride
/ nowhere |
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デビュー当時20才前後だった彼らの、まさに蒼き初期衝動ともいえる焦燥感をギターにぶつけていった名作。後年60's Rockへと回帰していった彼らだが、この初期の衝動的でザラザラした質感は、ある意味シューゲイザーと呼ぶに正に相応しい1枚。
感情ムキ出しな曲たちに、ただただ心揺さぶられる。近年、このアルバムにボーナストラックが入って再発された。
Released: 1990
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Chapterhouse
/ whirlpool |
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スペースメン3をフェイバリットに挙げる彼らのデビューアルバムは、サイケデリックの影響を色濃く出したシューゲイザーの大傑作となった。音に全てをまかせて幸せに浸れる至福の1枚。国内盤にはボーナストラックとして「in
my arms」が収録されているが、この曲は彼らが毎回ライブで最初に演奏していた曲で必聴。代表曲となった「Pearl」には、スローダイブのレイチェルがコーラスで参加している。
この後テクノ・ハウスミュージックへと傾倒していき、結果バンドは分裂してしまうが、一瞬の輝きを詰め込んだこの1枚は、まさに名作と呼ぶに相応しい。
Released: 1991
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Slowdive
/ just for a day |
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時のシューゲイザー・レーベルCreation Recordsより、やや遅れて出てきた彼らは、ライドなどに見られる蒼々しさよりもむしろ、4AD的な耽美的な音の世界を追求していた。深いリヴァーブのかかった音と、どこまでも鳴り響いていく残響音の世界は、その後多くのアーティストに影響を与えている。
10年以上過ぎた今なお、古臭さをまったく感じさせない音作りが素晴らしい、21世紀にこそ評価されるべき1枚。
Released: 1992
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Swervedriver
/ raise |
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今の時代から見れば、なぜ彼らがシューゲイザーに括られるか疑問に思うかもしれないが、彼らもまた時代が産み落とした寵児の1人だった。この手のバンドの中では珍しくストレートなロックよりのアプローチを見せ、中性的なイメージの強いシューゲイザーの中で、極めて男臭いバンドである。
ハードなラウドギターサウンドに埋もれるような、それでいて力強く切ない歌声にうねるようなベースラインが独特のグルーヴ感を生んだ。決して媚びる事なく、自らの姿勢を貫くさまには、心打たれるものがあった。
Released: 1991
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廃盤 |
Pale
Saints / The Comforts of Madness |
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シューゲイザーといえばCreation Recordsというイメージが強いが、同様に忘れてはならないレーベルに4ADがある。その4ADとシューゲイザーを結び付けた1枚。
ライドの蒼い衝動を、美しくも儚い耽美的な世界に引きずり込んでしまった、幻想的な世界が広がる。邦題「狂気のやすらぎ」はまさに名訳。
Released: 1990
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Lush
/ spooky |
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コクトーツインズのフォロワーとして(そもそもコクトーツインズによるプロデュースでもあるのだが)80年代後半にデビュー。彼ら初のオリジナルアルバムとなった作品。陰鬱で耽美的なコクトーサウンドを全面に押し出しつつ、ミキ、エマ2人の女性フロントの美しいコーラスワークと、ライドのような激しくも美しいギターサウンドが重なりあい、シューゲイザーの1方向性を決定付けた。
Released: 1992
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